First Communion (初聖体) (5)

June 1763

オスカルが得意そうに差し出す小箱を開けるとその中には銀のキリスト磔刑像のペンダントが光っていた。
「これはオスカルが選んだのですよ。」 
それはアンドレが今まで見たクロスの中で一番美しかった。まるで教会の祭壇の前にあるキリスト磔刑像をそのまま縮めた様に繊細な銀細工は職人の腕の良さが手に取る様に解る。それを一目見るなりマロン・グラッセが厳しい声で言った。
「いけません、 こんな高価な物を…アンドレはもう十分に頂いております。これ以上身分不相応な贈り物を頂いてもアンドレを甘やかすだけでございます。さあ、アンドレ、奥様にそれをお返ししなさい。」
アンドレの顔が少し悲しげに曇ったが、掌の小箱を素直にジャルジェ夫人の方に差し出した。
「だめっ!」
その時オスカルが席を立って叫んだ。普段礼儀正しいオスカルの何時もとは違った態度に皆が息をのんだ。
「これは僕がアンドレの為に選んだんだ!」
オスカルが眼に涙を溜めて一生懸命に夫人に訴えた。
「母上、お願いです。アンドレは僕の大事な親友です。その親友の為に選んだこの十字架をどうしても受け取ってもらいたいのです。」
優しい微笑みを讃えた夫人が何も言わずにマロン・グラッセを見つめた。その夫人の蒼い瞳に答える様にマロン・グラッセが静かに言った。
「…お嬢様にそこまで言われては仕方有りません。アンドレ、ありがたく頂きなさい。しっかりとお礼を言うんだよ。おまえは本当に幸せ者だ。」
「はい。奥様、オスカル、本当にどうも有り難うございました。」
アンドレが手の中のクロスを握りしめながらお辞儀をした。
「ああ、良かった!有り難うございます、母上、ばあや。」
オスカルがアンドレの肩を握りしめた。そしてオスカルの蒼い瞳にもようやく微笑みが戻りつつ有った。

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Missy

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