First Communion (初聖体) (2)

June 1763

屋敷の裏庭ではいつもの様にアンドレとオスカルが剣の稽古をしていた。木陰の椅子に腰をかけると夫人が二人を手招きした。
「母上!」
「奥様!」
眼を輝かせた子供たちが息を切らせながら走って来る。
黄金色と黒瑠璃の巻き毛の頭を優しく撫でながら夫人が子供たちに微笑んだ。

この優しい黒髪の少年が屋敷に来てからというもの、オスカルは子供らしい笑い顔を見つけたのだ。暫く子供たちの話を聞いていた夫人がアンドレに話しかけた。
「アンドレ、あなたが『悔恨の行為』のお祈りを暗唱しないと神父様が心配していましたよ。つい先月までは私に聞かせてくれましたよね。」
アンドレはきまり悪そうに下を向いてしまった。
「来年まで初聖体を待つと言うのはオスカルが一年早く初聖体を受けたいと言い出したのに関係があるのではないですか?」
今度はオスカルまで下を向いてしまった。
「どうやらその通りの様ですね。あなた方は何を戸惑っているのです? 私に話して頂けませんか?」
「母上、アンドレが悪いのでは有りません。僕がいけないのです。」
「オスカル?」
「ミサが始まるとすぐに子供たちは別の部屋に移されて『子供たちのミサ』を受けるでしょう? アンドレが初聖体を受けてしまえばもう大人と一緒だから僕たちはミサでは一緒にいられなくなっちゃうのです。」
夫人は優しくオスカルに微笑んだ。
「それはたったの一年間の辛抱ですよ。来年に成ればあなただって初聖体をうけられます。それにあなたとは同じ年のブーランジェ伯次男のエティエンヌやリッシュモン公嫡男のアルチュールも一緒ではありませんか。」
「あんな奴ら…」
「オスカル?」
「奥様, 二人は剣術も駆けっこもオスカルにかなわないのが悔しくてオスカルを無視するのです。」
唇をとんがらせて何も言わないオスカルの代りにアンドレが答えた。
困り顔の夫人が気を取り直してオスカルの手を取った。
「それでは、女の子達と仲良くすれば良いでしょう?シャヴァネル候のご令嬢もトリュフォー男爵の孫娘も皆一緒でしょう?」
「母上、僕は男です。女の子なんかと口はきけません!」
夫人が愛おしげに微笑んだ。
「オスカル、貴方が男の子なら尚更、女の子達と仲良くせねばいけません。女性のお供をしたり、きちんと御話し相手をするのは紳士のエチケットですよ。」
「ふ〜ん。そうか…で、一体どんな話をしたら良いのですか?」
オスカルの表情が和らいだのを見てアンドレも自然といつもの笑い顔が戻った。
「オスカル、僕がジョセフィーヌ様やカトリーヌ様のお茶のお付き合いをする時必ず僕に髪飾りやローブの事を聞くんだよ。僕が『とても綺麗です。』って言うととてもお喜びになります。」
「そうですね。アンドレの言う通り、女性はいくつに成っても美しいと言われれば嬉しいものなのです。」
「なるほど…」
オスカルはジャルジェ将軍がする様に考え深げに答えた。


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