新しい別れと出会い  (4)

November 1792

次の朝早く、アンドレが階段を降りて行くと居間でジャルジェ夫人の声が聞こえて来た。
「おはよう、アンドレ。」
「奥様、おはようございます。どうなさいました?寝台が堅すぎましたでしょうか?」
「いいえ、そうでは有りません。あの暴徒に襲われた日から夜は眠れないのです。大丈夫ですよ、もう少し明るくなったら一休みします。」
夫人が心配そうなアンドレの手を取って隣の椅子に腰掛ける様に促した。
「セシルは、本当にオスカルそっくりですね。あの子を初めて見た時は驚きました。 まるでオスカルの子供の頃に戻った様な錯覚をしてしまいました。」
「周りの人からセシルは母親似だと良く言われます。でもそこまでオスカルにそっくりだとは知りませんでした。」
「そしてジュールと仲良く遊ぶセシルを見ているとあなた方二人の子供の頃を思いだします。」
「ジュールに身内はいないのですか?」
夫人はアンドレの質問に答えなかった。
「ジュールには、本当に可哀想な事をしてしまいました。主人はこの頃のベルサイユの治安の悪さを心配して私にクロティルドの所へ行く様に、いつも勧めていたのです。私が素直に従っていればジュールの父も生きていたのでしょうに。」
「奥様、奥様のせいでは有りません。」
アンドレが夫人の手を握りしめて言った。アンドレには見えずとも夫人の瞳には悲しみの涙で溢れている事を直感した。
「有り難う、アンドレ。私はこの広い世界で貴方とオスカルが巡り会った事をいつも神に感謝しているのですよ。」
「私もです、母上。」
いつの間にか夫人の後ろに佇んでいたオスカルがそっと夫人の手をアンドレの手の上から握りしめた。
「母上、父上に聞きました。ジュールの母の死を哀れんで 彼の為に乳母を雇い、父親がそのまま屋敷で働ける様にはからってあげたそうですね。きっとジュールの父親も、 恩返しをしたくて命がけで母上を守ったのでしょう。その者の為にもしっかりと生き延びて下さい。」
「その通りです、奥様。奥様の優しさがどれだけこの親子の救いになったかは奥様の優しさに触れて育った私が良く知っております。」
二人の優しい言葉にやっと落ち着きを取り戻した夫人は二人の手を握りしめたまま浅い眠りについた。

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Re: No title

N様、
あたっているかも!  (^_-)*
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Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
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