銀の指輪 (2)

October 1789

アンドレが期待していた甘いランチデートは今日の所は叶わなかった。オスカルはその店の名物のラム肉のシチューには殆ど手をつけず、カベルネばかり早いペースで飲んだ。そして帰りの馬車の中でもアンドレにあたりちらしていた。

「だいたい私が男に見えるというのか?」
「オスカル、 此処はベルサイユじゃないんだぞ。お前の事を知る人はいないんだ。男装で、しかも男名で呼ばれていたおまえを男と間違えるのは仕方ないじゃないか。」
「しかもおまえが男色家だと思われた。」
「いいよ。俺は別に気にしていない。俺が愛しているのはおまえの姿形だけではない。おまえの全てだ。たとえおまえが男として生まれていてもおまえをきっと愛したよ。」
「…おまえは男色趣味もあったのか?」
アンドレが両腕を投げ出した。
「俺はもう降参だ。俺が何を言っても今のおまえを怒らせるだけのようだな。」
二人は屋敷までの道のりを無言で馬車に揺られて行った。

********************

屋敷に戻ったオスカルは書斎に駆け込んで大きな音を立てて扉を閉めた。別にアンドレに腹を立てていた訳ではないのに。何故素直になれないのだろう。アンドレ程の良い男を娘達が熱い視線で見つめるのは無理ないし、男色家と間違えられたのも、成り行き上仕方ない事だ。

本当に怒っていたのは自分自身なのだ。アンドレへの思いに気がついてしまった今は彼の全てを自分の物にしたかった。他の女性がアンドレの事を見つめる事さえ我慢出来ない。そしてオスカルは気がついた。こんなに愛しているアンドレにいつも甘えているばかり。自分の事が精一杯で長い間彼に何かしてあげるという事を考えてもみなかった。昼間の娘の言葉が頭に浮かぶ。

「今までアンドレに結婚指輪を贈っていなかった事に気がつかなかったなんて…私は酷い妻だな。」

オスカルが呟いた。こうなったらどうしてもアンドレに指輪を贈りたい。勿論結婚式の日にジャルジェ将軍が贈ってくれた資金も有るしアンドレに頼めばいくらでも金を用意してくれるだろうがそれでは意味はない。オスカルはどうにかして自分の手で指輪を買いたかった。

そのような事を考えていると扉が静かに開いてショコラをトレイに載せたアンドレが立っていた。
「気が済んだか?」
いつもの様に優しいアンドレの微笑みが凍り付いた心を溶かす太陽の光の様に暖かい。
「ああ。」
ゆっくりとショコラをすすりながらオスカルが言った。

「私だって男に生まれていてもおまえを愛していたと思う。」

オスカルの精一杯の謝りの言葉にアンドレは無言でオスカルを抱き締めた。
 
 

お知らせ:

”新しいSSをUPされる時はストーリーの始まる前にOAの関係がいつ頃の設定なのか明記して頂くと分かり易いのですが、いかがでしょうか?” というコメントを頂きました。その方が読んで下さる方も楽かな~と思いタイムラインを書き込む事にしました。それとUPするたびに Index を更新しておりますのでそこからも解る様にしてあります。

(左側の Category で Index(1)をクリックして下さい。)

 Missy  

Post a comment

Private comment

sidetitleProfilesidetitle

Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
Please Enter at your own risk!

sidetitleMissy's Break Roomsidetitle
This is a message board for my guests!
sidetitleLinksidetitle
sidetitleLatest journalssidetitle
sidetitleLatest commentssidetitle
sidetitleLatest trackbackssidetitle
sidetitleCategorysidetitle
sidetitleMonthly archivesidetitle
sidetitleYou are the visitor number:sidetitle
sidetitleCurrent Visitorsidetitle
sidetitleSearch formsidetitle
sidetitleFriend request formsidetitle

Want to be friends with this user.