二人の旅立ち  (2)


「オスカル,観てごらん、コート・ダジュールだ。」
オスカルが窓の外を見ると白い砂浜に蒼い海が水平線に広がっている。秋だというのに未だ強い日差しが水面に反射して銀色に煌めいていた。そして水平線の終わりには,雲一つない空がやはり蒼く続いていた。
「何て 美しいんだ!」
オスカルが溜息を漏らした。
「おまえの瞳の色だ。」
アンドレが海とオスカルを交代に見つめながら言った。
「俺たちの新しい家はもうすぐそこだ。」

アンドレの指差す方角には丘が広がっていて、馬車がそこを昇り詰めると、沢山の木や花に囲まれて La Petite Chaumière があった。紅い瓦に白い石壁の屋敷は ピンクの蔓薔薇と、つたの緑が鮮やかだった。沢山ある窓にはプランターが置いてあり,色とりどりの花が咲き乱れていた。
「この屋敷の裏には厩と納屋がある。そして敷地内には果樹園や小川もあるんだ。」
子供の様に目を輝かせて説明するアンドレを満足そうに見つめるオスカルの視線に気がついた。
「まあまあだろ?」
「当たり前だ。おまえが選んだのだから。」

馬車を降りて背中を思い切り延ばした二人はLa Petite Chaumière の扉を開けた。明るい色の室内は居間から厨房まで品の良い調度品や家具が程よく空間を埋めていた。
「この短い期間で良く揃えたな。」
「実は調度品も家具もひっくるめで買ったんだ。持ち主が外国に亡命するのに全てを捌きたかったらしい。俺としてもその方が都合が良かったしな。」
「そうか。前の持ち主の趣味が良くて良かったな。」
「ああ,助かったよ。」
階段を上がるとすぐに一番大きな寝室があった。南に面したその部屋はバルコニーも有り、晴れた日にはコート・ダジュールも見えた。
「この窓から見る海はまるで名画のようだ。」
「気に入ってくれたかい?」
「勿論だ。この海を見ているだけで、心が和む。」
クローゼットの中にはオスカルに合いそうな服が女装と男装と両方揃えてあった。
「どちらを着るかはおまえの自由だよ。 おまえが着慣れているのは勿論男装だけれど、親王派が探してるのも、男装のおまえだ。ひっそりとくらしたいのなら女装の方が目立たないかと思って。」
アンドレの揃えた女性用の服は今まで着た物とは違って、 シンプルで窮屈ではない。結婚式のローブ姿を見たアンドレはまるで魅せられた様にオスカルを見つめてくれた。こういった村娘のような服を着てもアンドレは熱い眼差しで見つめてくれるだろうか?モスリンのさらさらとした感触を楽しむ様に手で触れながらオスカルが呟いた。

「この様な格好をしてみるのも楽しいかもな…」





 

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Missy

Author:Missy
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