Déjà vu (デジャヴュ)   (2)

そこに現れたのはヴィルジニーであった。去年まで行儀見習いとしてジャルジェ家で働いていたその娘は、一時はアンドレに恋心を抱いていた事も有った。今では幸せそうな奥様としてこの屋敷を取り仕切っている様だ。

「まあ, お二人とも なんてお美しい! オスカル様はこちらへどうぞ。ウジェーヌ、アンドレを頼みますね。」
ヴィルジニーは二人の頬に軽く口づけるとウジェーヌと呼ばれた従者に合図した。
そしてオスカルの手を取って長い廊下の奥へ消えて行った。アンドレは従者に導かれて化粧室のついた私室に一人通された。
「お召し替えを...」
ウジェーヌが着替を手伝おうとした。
「いいえ、大丈夫です!自分でやります。」
他の人に着替えを手伝ってもらった事の無いアンドレは困った顔をしているウジェーヌをよそに一人で用意された衣服に着替えた。 アンドレの為に用意されたのは礼服であったが,現在来ている物よりも装飾が多くクラバットを止めるルビーのブローチまで用意されていた。
「せめて御髪を整えさせて頂けますか?」
仕方なく言われるままにした。ウジェーヌが香りの良い髪油を使ってクセを少しずつ延ばして行く。銃創のせいで寝たきりになっていた為か、アンドレの髪は思ったより長い。 綺麗にまとめられた髪に上着と同布のリボンを結びつけると ウジェーヌが満足そうに頷いた。
「これで用意ができました。さあ、こちらへどうぞ。」

ウジェーヌに導かれて大広間に来たアンドレは何とも不思議な既視感を感じた。この屋敷には来た事も無いのに何故か大理石の床も鏡張りの壁も懐かしい。人の気配を感じて見上げると,螺旋階段からオスカルが降りて来る所だった。白絹のローブに包まれたオスカルの姿を見た時、今まで心の奥に大事にしまっていた記憶が蘇る。十数年前に森の中で見たのは夢か幻か。今度こそ本当にオスカルがいる。それも彼を愛する妻としてアンドレに手を差し伸べながら微笑んでいた。あの時の様にメヌエットが流れ二人は踊り出した。ぴったりと息の合った二人が音楽に合わせて動くたびにローブの裾が綻んだ花弁の様に揺れ動く。 アンドレを見つめる蒼い瞳が星の様に輝いてほんの少しだけ紅を付けた唇が朝露に濡れた蕾を思わせる。
 
「今度こそお前の為だけにローブを着て踊りたかったんだ。」

アンドレの胸の中で囁いたオスカルのうなじが恥じらいでピンクに染まった。    


あとがき:このお話は 白い鹿1−4を読んでから読まれた方が解り易いと思います。いつもながら話のタイムラインが前後してすみません。妄想に任せて暴走しておりますので...

Post a comment

Private comment

No title

新作お待ちしておりました~。
あのリアルな口紅は、こ~んなふうに繋がっていたのですね~。
オスカル様のセクシーな唇が浮かんでしまいました。

No title

ぶらね様、
ようこそ!又来て頂いてありがとうございます。
大好きな同士の一人に読んでもらって嬉しいです!


v-254
sidetitleProfilesidetitle

Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
Please Enter at your own risk!

sidetitleMissy's Break Roomsidetitle
This is a message board for my guests!
sidetitleLinksidetitle
sidetitleLatest journalssidetitle
sidetitleLatest commentssidetitle
sidetitleLatest trackbackssidetitle
sidetitleCategorysidetitle
sidetitleMonthly archivesidetitle
sidetitleYou are the visitor number:sidetitle
sidetitleCurrent Visitorsidetitle
sidetitleSearch formsidetitle
sidetitleFriend request formsidetitle

Want to be friends with this user.