A Knight in Shining Armor  (輝く鎧の騎士)

黒い髪の少年と黄金色の髪の少女は書斎の暖炉の前に腹這いになり1冊の本を夢中で読んでいた。『輝く鎧の騎士』と言う題名の英語の本は英語を習い出したばかりの二人には少し難しかったけれど,沢山の綺麗な挿絵が勇敢で礼儀正しい中世の騎士達の冒険を物語っていた。厚い絨毯の上で頭をくっつける様にして馬上の騎士の絵に見入る二人は溜め息を吐いた。
「なんて素晴らしいんだろう。騎士はとても強くて悪い奴らを懲らしめ,弱い者を助けるんだ。」 
「オスカル,君はきっと騎士になれるよ。剣だって銃だってとっても上手だし。」 
オスカルは突然悲しそうな顔をした。 女性の証が始まり、柔らかく変化し始めた体をコルセットに包む様になったオスカルは自分が女である事を認めない訳にはいかなかった。
「僕は騎士にはなれない。」 
必死で涙をこらえて唇を噛み締めるオスカルを見るとアンドレまで悲しくなってしまう。何も言わずにオスカルの手を取り握りしめた。
「僕が騎士になれないのなら…」 
オスカルがアンドレの黒い瞳をじっと見つめて言った。 
「お前が私の騎士なら良いのに…」
アンドレが驚いて息をのんだ。それでも心を決めた様に オスカルに答えた。
「うん、僕、オスカルの騎士になるよ。うんとがんばって剣も馬も銃も上手くなるから…」 
「約束だ。」 
二人の明るい笑い声が静かな書斎に響いた。

*******

— 7.13.1789 朝 —

昨夜初めて結ばれ、全てを与え合った二人。オスカルはアンドレの胸に抱かれてひとときの幸せを噛み締めていた。窓の外が少しだけ色を帯びて来た。皆が起きる前にアンドレは自分の部屋に戻らなければいけない。二人だけの時間が名残惜しくてオスカルの目から一筋の涙が溢れ頬を伝った。
「愛している…よ。」
オスカルの涙を拭いながら囁いたアンドレの目頭も濡れていた。 オスカルはあわてて笑ってみせた。
「そうだ、お前に見せたい者が有る。」
オスカルが寝台の脇のテーブルにあった一冊の本を取りアンドレにわたした。 
「これは…」
「覚えているか?いつか二人で読んだ 『輝く鎧の騎士』さ。身の回りの物を処理していたら見つけたんだ。」
アンドレが昨日した様にオスカルもやはりこの屋敷には二度と戻らぬ覚悟をしていたのだ。 心の通じた二人に言葉はいらない。 古い革表紙の本を開くと美しい馬上の騎士が昔と同じ様に剣をかざして其処に居た。思い出が走馬灯の様に頭の中を駆け抜ける。 アンドレが寂しげに笑った。 
「ごめんよ,オスカル。とうとう約束を果たせなかったな。」 
「何を言うんだ?」 
「俺、約束しただろ?お前の騎士になるって。結局だめだった。剣も銃もたいした腕にはならなかった。」
オスカルは愛情あふれた微笑みで彼を見つめ本をぱらぱらと捲った。
「そうだな,あの頃の私達は未だ英語が達者では無かった。肝心な所を読み損ねていたんだ。昨日この本を見つけた時余りに懐かしくてもう一度読んでしまった。アンドレ、ここを、声を出して読んでみろ。」
アンドレはオスカルの指差すページを読んで驚きに目を見張った。 
「…騎士(knight)と言う言葉の語源は古英語の『従僕』を意味する 『cniht』 に由来する…」 
「解るか,アンドレ?騎士というのは自分をかえりみずただひたすら尽くす事の出来る者の事なのだ。私が今日までやって来られたのはお前が私の事だけを考えて行動してくれたから。だからお前は間違いなく私の騎士だ。」
二人はもう一度強く抱き合って口づけを交わした。その時二人の耳に一番鳥の歌が聞こえた。
「俺もう行くよ。お前はもう少し休め。」 
素早く身支度を整えて去り行くアンドレにオスカルが言った。
「良いな,お前は私の騎士だ。私の手の届かない所へは決していくな。」
アンドレがしっ かりと頷いた。
「きっとだぞ!」
扉を閉めて出て行った彼の言葉が余韻を残し、いつまでもオスカルの心に響いていた。

「ああ,俺はお前の騎士だ。この命続く限り…」

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Re: No title

U様、せっかくお越し下さったのに読み辛くてすみませんでした。なんせ幼少の時日本で暮らした数年しか日本語の教育を受けていないので私は文法を知らな過ぎます。反省して今度勉強します。

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Re: いつも楽しく拝読させて頂いております。

N様、
優しいお言葉をどうも有り難うございました。とても励ましになりました。
これからもよろしくお願い致します。
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Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
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