Blind Fold (目隠し)  (4) (おまけ)

腕を組んで歩く二人は Vallée de Sérénité で只一つの酒場へ足を踏み入れた。
「 ベルサイユの夏と違ってこの土地の夏は凌ぎ易いな。8月だとは思えん。」 
「 ああ,湿気が少ないし海からの風が心地いい。胸の病の治療には一番条件が良いそうだ。俺がこの地を選んだ理由の一つさ。」
その夜の二人はいつも以上に機嫌が良かった。その日オスカルの掛かり付けの医者が妊娠を確認し胸の病もこのまま向上していけば出産に問題は無いと太鼓判を押してくれた。二人で丸い木のテーブルを挟んで座りシャンパンで乾杯した。 
「 一杯だけだぞ。赤ん坊がマリネになってしまったら大変だ!」
二人は笑いながらオスカルに宿った小さな生命を神に感謝した。

幸せでいっぱいの二人は少し離れたテーブルで酒を飲んでいた目つきの悪い4人の男達に気づかなかった。昼過ぎから酒を飲んでいた男達は長身で美しい二人が店に入って来たときから見事な金髪の女に見とれていた。そして暫く見つめている内に黒髪の男が盲目である事に気がついた。 
「 それにしても良い女だぜ。」 
「 まったく、めくらにあの女はもったいねえ。」 
そう言ったかと思うと、男達が立ち上がって二人のテーブルを囲んだ。 その内の一人が両手をテーブルに置きオスカルにかがみ込む様にして話しかけて来た。
「 マドモアゼル、どうだい、俺たちのテーブルに来ないかい?」 
酒臭い息がオスカルの鼻を突く。
「 悪いがお断りする。」
ベルサイユでは氷の華と謳われたオスカルの刺すような瞳も酔っぱらいの前では効果が無い。昔のオスカルなら売られた喧嘩は買う主義だったが、女装でしかも身重となった今は喧嘩をするわけにはいかない。それにこれ以上アンドレを傷つけるわけにはいかなかった。オスカルを守る為には喜んで楯になるのが解っていたから。男達が様々に口走った。
「 へん、可愛げのねえ女だ。」 
「 何もめくらの男なんて相手にしなくても。」
「 そうだ、俺たちが本当の男ってもんを教えてやろうっていうのによ〜!」 
それまで拳を握りしめて我慢していたアンドレが怒りを堪えきれずに立ち上がろうとしたがそれより一足先にオスカルがアンドレの膝の上に向き合う様に座った。 
「 オスカル?なにを…」 
言葉を待たずオスカルはアンドレに口づけると貪る様にアンドレの唇を吸い舌を絡めた。
「 この男を知った今はもう他の男では満足できん。」
余りに情熱的で大胆な二人の愛撫に酒場が静まり返り,男達もあっけにとられて只佇んでいた。 その内に酔いが醒めたのか気が抜けた様に自分達のテーブルにおとなしく戻っていった。 オスカルはアンドレの膝の上に座ったままシャンパンを飲み干すと半分残っていたアンドレのシャンパンもついでに飲み干した。それを合図にアンドレがオスカルの腰に腕を回して立たせると自分も立ち上がった。二人が無言で酒場を出た時二人を見つめている者はもう居なかった。

*******

「 それにしても大胆なまねをしたな」 
「 もう言うな。実は恥ずかしくて足が震えていた。」 
「 知っていたよ。おまえが必死で俺の名誉を守ってくれたのも。ありがとうオスカル。」 
「 私が助っ人に入る訳には行かないし,私が買った喧嘩におまえを巻き込むにも4対1では分が悪い。」 
二人は抱き合う様にして笑いながら馬車までの道を歩いた。 
「 …もう他の男では満足できん、か?まるで知ったような口のききかただな…」 
「 言葉のあやだ。あのくらい言っておけば私にちょっかいを出す者はもう居るまい。」
アンドレが可笑しそうに囁いた。 
「 他の男なんて知らないくせに…」
「 他の男なんて知りたいとも思わん。もうこれ以上言うな!」
オスカルの口調が少し拗ねてきた。 
「 それが聞きたかっただけさ。ごめんよ、からかって。」 
「 馬鹿!」 
二人は暫く無言で歩いた。

「 アンドレ。」 
「 ん?」
オスカルの真剣そうな声にアンドレが立ち止まり二人は向き合った。 
「 この赤んぼうだが…」
「 ああ?」
黒い瞳が心配そうに オスカルの方をみつめている。 

「 あの 『クラバットの夜 』 に授かったんじゃないかなと思って。」
それだけ言うとオスカルは恥ずかしそうに下を向いて歩き出した。アンドレは慌ててオスカルの後を追って歩き出した… 

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Missy

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