Blind Fold (目隠し)  (1)

「あっ、肩掛けを忘れた。ちょっとここで待っていてくれるか?すぐ戻ってくる。」
オスカルはアンドレを屋外カフェの椅子に座らせると近くに止めてある馬車の方に歩いて行った。薄手のブラウスに海から吹く五月の夕風はオスカルには少し肌寒い。二人が Vallée de Sérénité に住む様になりもう7か月になる。一月程前にとうとう視力を無くしたアンドレに心配をかけない為にもオスカルは今までに無く自分の健康に気をつけていた。 

肩掛けを持って戻って来るとオレンジの沢山入った籠を持った農民の子供たちがアンドレに話しかけていた。 「おじさん、取りたての果物はいかが?」
アンドレが尋ねた。
「ほう?何があるんだい?」
子供達が不思議そうな顔をしたが年上らしい子がやっとアンドレが盲目である事に気づいたらしく
「この人めくらだ。いこうぜ!」
と言い捨てて年下の男の子の袖を引っ張って走り去った。アンドレは何も言わなかった。 オスカルの気配を感じたアンドレが言った。
「良いんだ、オスカル。何も言うな。」 
「でも…あんな無作法な…」 
「まったくだ、この良い男をつかまえておじさんだなんて。俺はまだまだお兄さんだぞ。」
アンドレがオスカルの為に一生懸命に陽気に振る舞っている事が痛々しかった。 オスカルの目頭が熱くなり涙が込み上げてくる。オスカルの気持ちを察したアンドレが優しく手を握りしめた。
「オスカル,そんなに悲しまないで…視力を失うのも悪い事ばかりじゃないんだよ。」 
「えっ?どうゆう事だ?」 
「だから…おまえは俺の聴覚が良くなったのは知っているだろう?」 
「ああ。」 
「良くなったのはそれだけじゃないのさ。」 
「それって…味覚とか臭覚とか?」 
「俺の味覚はジャルジェ家の一流の料理人のおかげで発達していたし鼻も昔から良かった。」 
「とすると残るは触覚?」 
アンドレが取って置きの低く優しい声でオスカルの耳に囁いた。 
「未だ解らないのかい?」 
いつもはベッドの中で囁かれるその声を聞いただけでオスカルの体の芯で何かが疼くようだ。 
「今夜教えてあげるよ。いいな?」
アンドレが悪戯っぽく言った。

*******

せっかくのカフェの夕食も上の空で食べたオスカルは珍しくワインまでこぼしてしまった。先ほどのアンドレの言葉に頭が一杯な様だ。帰りの馬車でもオスカルは出来るだけ平然を装おっていたがそうでない事はアンドレには解っていた。二人が愛し合うたびに太陽の光を一身に受けて開いて行くつぼみの様にオスカルの体はアンドレによって開拓されて行く。今さっきの愛する男の言葉に体の奥に秘められていた情熱が呼び起こされる様だ。オスカルは体中が熱を帯びるのを感じ肩掛けを外した。

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Missy

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