本当の理由は...

「良かったわ!もう傷が大分塞がってきました。」 
ロザリーがアンドレの背中の包帯を取って銃創を視た。  
「アンドレ、ちょっと髪の毛をむすばせてもらうわね。」 
傷を消毒する為にロザリーがエプロンのポケットから水色のリボンを取り出して髪をまとめて縛った。 
「ほら、昔を思い出すでしょ?」 
隣の寝台で横になっていたオスカルが口を挟んだ。 
「本当だ!そう言えば、お前は何故髪をもう結ばないんだ?」 
アンドレの長かった髪をちょん切った超本人が聞いているのだから世話無い。 
「あら、オスカル様はご存知なかったのですか? 髪を切ってからのアンドレの株が急上昇しましたのよ! 宮廷のご婦人方が従順で静かな従僕から魅惑的で男の色気満点のボディガードに大変身したとかもっぱら大騒ぎでしたのに!」 
アンドレの左目の失明の件もオスカルを大勢の賊から守った為と言う噂の尾が尾をひいてなかなかロマンチックなメロドラマとして多くの貴婦人が夢見心地で語り継いだと言う。ロザリーはオスカルの役に立ちたい一心でアンドレが必死に目で 
「やめてくれ〜!」 
と合図するのも気づかずに喋りまくった。
「その頃からお屋敷の方にもアンドレ宛のラブレターとか贈り物が増えて処分するのが大変だったのですよ!」
始めのうちは微笑みながら聞いていたオスカルだったが、だんだんと微笑みが作り笑いに代わり、しまいには目が完全に怒っていた。アンドレはそれをどうする事も出来ず只心配そうに見守っていた。その時、誰かが廊下で叫んだ。 
「救急の怪我人が入りました。手の開いている方は治療室に来て下さい!」
ロザリーは躊躇したがオスカルが言った。 
「ロザリー, おまえも行っておやり。ここは私がやる。」 
「オスカル様が?」 
「私だって軍人だ。怪我の手当の一つや二つは朝飯前さ。」 
「そうですか…じゃあおまかせします。」 
アンドレは心の中でロザリーに行くなと叫んだがもちろんロザリーには聞こえない。消毒薬を持ったオスカルがいきなりアンドレの首を掴み、銃創に消毒薬をじゃぶじゃぶと注いだ。 
「い..痛い!しみるぞ〜!もっと優しくしてくれ〜っ!」 
アンドレの叫び声におかまい無しでガーゼでごしごし擦った。 
「… 魅惑的で男の色気満点のボディガード、か…?」 
アンドレの悲惨な叫びは病院では有りがちな雑音として誰も気に留めはしなかった……

*********

「おまえ未だ怒っているのか?」 
オスカルが背中を向けて寝台に横になったまま返事をしない。
「そう言えば… 」 
オスカルにも思い当たる節が有った。 御婦人方がいつもアンドレに用を申し付けようとしていたがそう言う事に全く疎いオスカルは何故上級貴族の女性達が他人の従僕を借りねばならないのか解らなかったのだ。オスカルがやっとアンドレの方に向き直り彼を見つめた。確かに素晴らしく男前だ。顔立ちも美しいし、無駄の無い体つきだって…オスカルの脳裏にたった一晩だけ重ねた逞しい男の肉体が浮かんだ。あの女達も今私がこうしている様にこの力強い腕に抱き締められて苦しい程に満たされるのを焦がれているのだろうか。

オスカルがやっと我に帰ったのはアンドレの低く甘い声が彼女の耳元に優しく囁かれて今まで焦がれていた胸に抱きすくめられた時だ。
「何をする!ここは病院だぞ!」 
「鍵は掛けた。それに俺があれだけ叫んでも誰も来なかったんだ。先ずは大丈夫さ!」 
たまらない程の羞恥心とは裏腹にアンドレに愛撫される体がそれを望んでやまない。まるで溺れかけた子供の様に必死にアンドレの背中にしがみついた。 何度も押し寄せては引いて行く波の中で 小舟の様に激しく強く揺さぶられる。 ようやく嵐が静まった時アンドレと言う限りなく穏やかな海に 沈んで行く自分が快かった。

*************

「…傷に障っても知らないぞ!」 
アンドレの腕の中でオスカルが言った。
「何を言ってるんだ。おまえの手当の方がよっぽど傷に障ったぞ!」 
「おまえがいけないんだ。そんなに女性にちやほやされたいのか?」 
「それは違う!」 
「では何故?」 
「あの髪型は手入れに時間がかかったんだ。 その分一秒でもおまえと一緒にいたかった。」  
オスカルの髪の毛を指で弄びながら言った。 
「それに俺は明け方までおまえの部屋で添い寝していただろう?」 
「ああ。ただずっと私を抱いていてくれたな。」  
今から思えばもったいない事をした…とオスカルは心の中で呟いた。 
「まさかおまえの前でナイトキャップを冠る訳行かないだろ?」 
「ナイトキャップって、あのとんがり帽にポンポンが付いた…?”  
「そうだ,あれを冠らないと俺の癖毛が爆発して手がつけられなくなる。」 
オスカルの目は点になってしまった。 
「おまえがナイトキャップを冠って寝ている所なんて考えられない!」  
「とてもじゃないが魅惑的で男の色気満点のボディガードには見えないぞ!」   

「…気にするな…髪の毛はそのままで良いぞ…」 
それだけ言うとオスカルはこらえきれない笑いを隠す為に頭から布団をかぶってしまった……

*Nightcap*


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Missy

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