“Just say Yes”

“Just say Yes”

「アンドレは一体何処をほっつき歩いているんだ!!」 
オスカルは病院の寝台の上で拗ねていた。 オスカルは今の所は約束を守って神妙にしている。 ロザリーは毎日来てくれて何かと世話をしてくれているが,当のアンドレは怪我が良くなってくると何をしているのか昼間は余り部屋に居たためしがない。 じっとしているのが退屈で仕方ないオスカルにしてみればアンドレにほったらかしにされている事が面白く無い。  
「死ぬまで一諸に居てやるぞと言ったのは何処のどいつだ!」
そして3日前用事があって暫く留守をすると言ったまま音沙汰がない。 ロザリーは気を使って何とかオスカルの機嫌を治そうと頑張っていたが流石のロザリーも今はただアンドレの帰りを祈っていた。 

*******

その日の夕方ようやくアンドレが戻って来た。 
「アンドレ!!!」
オスカルはアンドレの顔を見るや否や寝台から跳ね起きてアンドレの首に飛びついた。 
「オスカル!ごめんよ、寂しい思いをさせて。」 
オスカルはアンドレの広い胸に顔を押し付けて懐かしい香りを胸いっぱいに吸い込んだ。 
「一体何処へ行ってたんだ? 心配したぞ。」  
「大丈夫、もうずっと一緒にいるよ。訳は後で話す。それより少し散歩でもしないか? 今着替えを手伝ってやるよ。俺もちょっと体を拭きたい。一日馬車に乗っていたから。」 
オスカルはますますアンドレがどこで3日間を過ごしたかが知りたかったが、今何を言ってもアンドレが答えてくれないのが解っていた。 

井戸水で汗と埃を流したアンドレは着替えを済ませて戻って来た。微かに漂うベルガモットの香料が爽やかだ。アンドレがオスカルの手を取って庭園に出ると二人は噴水のふちに腰を下ろし夕焼けで朱色に染まったパリの空を見上げた。 
「きれいだ…」 
「本当に綺麗だ。明日も良い天気だ。」 
アンドレがふふっと笑った。 
「何が可笑しい?」
「俺は夕焼けじゃなくてお前の事を言っていたんだ。」 
そっとオスカルの耳元に口づける。

「これをおまえに……」  
何処に隠し持っていたのかアンドレは一輪の白薔薇をオスカルに差し出した。オスカルは嬉しそうにそれを受け取ると花弁を一枚噛んだ。 
「相変わらずだな。 薔薇の花弁をたべるのはパリ広しと言えどおまえだけだろう…」 
「…余計なお世話だ!」
白薔薇の茎には紅いリボンが結んである。その結び目で何かが夕日の光を受けて輝いた。 
「これは…?」  
紅いリボンを解くと銀色の指輪が光っていた。すかさずアンドレはオスカルの前に向かい合う様に跪いた。
「オスカル…こんな俺で良かったら一生を共にしてくれるか? 俺は何も無いけれどおまえを愛する事では誰にも負けない。 お前の為ならいつでもこの命を投げ出そう。 愛している…よ。」  
オスカルの手の甲に口づけした。 オスカルは蒼い眼を潤わせて言った。 
「おまえはもう解っているだろう。私の答えは "Oui" だってことを。 おまえを愛している。おまえじゃないとだめだ。」  
そして自分も跪きアンドレをしっかりと抱き締めた。  
「でもそう死に急がないでくれないか。私の為に命を投げ出すよりも私の為に生きろ。いいな?」 
アンドレは何か言おうとしたがオスカルの唇がそれを遮った。

"Just say Yes…"

銀の指輪がオスカルの薬指できらりと光った。

**********


「……それでおまえは3日間なにをしていたんだ?」 
2人は病室の寝台に抱き合って横になっていた。 
「俺達の土地を見にいったんだ。」 
「私達の土地?」
「ああ、コートダジュールに面した村で Vallée de Sérénité (Serenity Valley - 平静の谷)にある。La Petite Chaumière (Tiny Cottage - 小さな田舎屋敷) と呼ばれる屋敷は小さいが敷地はなかなか広く厩や果樹園,それに小川も有る。 そこはフランスアルプスから流れ出る綺麗な水が豊富だし、海に近い温暖な土地だ。 おまえの病気を治すには最適だと思う。」 
「おまえは本当に何をするのでも手際がいいな。 私は一銭も持たずに屋敷を出てパン一つ買う金も持ち合わせていないと言うのに。」
「俺は結構貯金があったんだ。屋敷で奉公していれば衣食住賄って貰えるし衞兵隊の給料もあったからそのほとんどをアメリカ合衆国銀行に投資してた。フランスの銀行よりも配当金は多いし。 おまえがジェローデルと婚約した時俺は辛くて一時は屋敷を出ようかとも思った。 その時はその金でどこかに土地を買って葡萄でも栽培しようと思ってたから。」 
「良かった…おまえを失わないで…」  
「安心しろ…結局俺はおまえから離れられなかった…。そして今回出動が決まった時おまえが民衆側に立つのは解っていたから当座の資金が必要だと思って債券を少し現金に変えておいたんだ。 銀行に行ったらたまたま貴族が亡命資金欲しさに La Petite chaumière を二束三文で売りに出していたから思わず買い取った。そして此処数日そこへ出向いて準備を整えて来たんだ。」 

「それで何時私はその新居にいけるのだ?」 
オスカルはアンドレの有能さに感謝した。自分が理想のもとに意思を貫けたのはアンドレが全てに至るまで手配してくれたから。国王陛下の命令に背いてしまった今はジャルジェ家からできるだけ遠ざかり災いのかからぬ事を祈るしか無い。 
「そうだな,おまえの体力がもう少し回復したら。多分来月頃。」  
「見てろ、それまでにうんと良くなってみせるぞ!」
「そうこなくっちゃ!」 

…その夜オスカルはアンドレの腕に包まれて眠った。 青く冴え渡ったコートダジュールの純白の砂浜で 二人並んで馬を駆る夢を見ながら…

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