夫婦喧嘩は……  Late July 1789

アンドレの状態が安定したのを見計らって二人はパリの病院に移る事に成った。 普通なら労咳患者は隔離するのだがアンドレが却下。どちらにせよこの二人を離すことはできまいと特別に許しが出た。二人は同室できる様に計らいができた。

まだ背中の傷が癒えていないアンドレの為にアランが馬車を調達してくれた。3人で馬車に乗り込んでしばらくするとオスカルがひどく咳き込んだ。 
「大丈夫かオスカル!馬車を止めてくれ!」 
馬車を止めて背中をさすってやるアンドレの余りにも辛そうな顔を見てオスカルの心が痛んだ。 
「すまんアンドレ。おまえを騙すつもりはなかった。ただおまえのその顔を見るのがたまらなかったんだ。」  「おまえに何か有ったら俺は生きてはいないぞ! それに…」 
アンドレがポケットから新聞の号外を引っ張りだした。 
「…金髪の女将校バステイーユ襲撃で民衆を勝利へと導く。男装の麗人ジャルジェ准将は銃弾をかいくぐり最前線で戦闘指揮…民衆から勝利の女神と讃えられる…」  
「な…なんと!」
オスカルが紙切れをアンドレの手から引ったくった。それにはご丁寧にオスカルが最前線で旗を翻す絵までかかれている。 
「アランに任せるのではなかったのか? おまえの向こう見ずには程がある!」
アンドレの声から怒りと苛立が伝わってくる。 弁解の余地も無くオスカルは俯いた。 見るに見かねてアランが口を挟む。 
「隠し事はおあいこじゃあないのか?」  
「えっ?」
オスカルが顔を上げて アンドレに尋ねる。  
「何の事だ?」
今度はアンドレが下を向く。 
「アンドレ,俺に言わせるつもりか?」 
「アンドレ???」 
オスカルの口調が幾分強めになって来た。とうとう諦めてアンドレが重い口を開く。
「俺の右目…もう時間の問題なんだ。」 
突然の言葉の意味が分からずオスカルがアンドレを呆然と見つめる。 
「だんだん霞が酷くなっている。見えなくなるのはもう時間の問題だって。」  
見る見るうちにオスカルの瞳が曇りだし涙がこぼれる。 
「何故黙っていた! ああこれもすべて私の責任だ!」  
「おまえのせいじゃない。 だから言えなかった。おまえを苦しめたく無かった。」
アンドレはオスカルを強く抱き締めてオスカルの濡れた頬に唇をそっと付け涙を吸い取った。 流石のアランも この小さな馬車の中でそこまで当てられると(?)目のやり場が無い。  
「全く呆れた似た者同士だぜ, あんた方は! 話にならねえ!」 
「アンドレ…頼む。私も大人しくするから,おまえもちゃんと目の治療を受けてくれ。1日でも1秒でも良い,おまえに私を見ていてほしいのだ。」 
「解った。おまえの言う通りにするよ。」  
「そして…その目に闇が訪れたら私にだけは隠さずにいてくれ!」  
「約束するよ。神に賭けて誓う。 愛しているよ、オスカル。」  
「私もだ…私のアンドレ。もうおまえに隠し事はしないぞ。」 


「ああ〜もうやってらんねえ!」 
アランは呆れていた。

……夫婦喧嘩は犬も食わないとは良く言ったもんだ…… 

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Missy

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