~ Into the Fire we go (3)〜    7.14.1789 PM

~ Into the Fire we go (3)〜    7.14.1789 PM


アランの指揮はほぼ完璧に見えた。 
「それは私達が似た者同士だからか?」 
以前アンドレに言われた事が有る。 
「お前とアランは性格がそっくりなんだ。荒っぽいくせに実は優しくて弱い者を見ると助けずにはいられない。」
衛兵達を要所要所に配置させ民衆を庇いながら焦らずに攻撃をかける。大砲を上手く操り国王軍の守りを揺るがせていく。
「確かに私も全く同じ方法で攻撃したに違いない…」
オスカルは自分の出番を待つ子供の様に少し羨ましげに戦いの進展を見つめていた。

しかし始めの動揺が治まってくるとやはり本職の軍人である。国王兵は民衆を完全無視して青い上着の衞兵隊だけを狙撃しだした。いくら平民達が銃を持っても慣れない武器はまるで役に立たない。

70ヤードの射程距離より後方で歯がゆく見守っているオスカルにも国王軍の作戦が手に取るように解った。
「まずい!この分では数は勝るとも戦力は劣ってしまう!」 
伝令係のピエールも不安そうにオスカルを見つめて彼女の指示を待っていた。  
「ピエール、上着を脱げ。帽子もだ!」 
近くにいた平民の上着を脱がすとピエールに着せた。 
「いいか、アランに伝えるのだ。軍服を脱ぎ、どれでも良いから民衆の上着を着るんだ。解ったな!」 
オスカルもピエールの後を追う様に走り出したが近くで見ていた白髪の上品そうな男に止められた。 
「あの,もし…こんな物で宜しければ使って下さい。 あなた様のお召しの将校様の軍服は衞兵隊の物以上の的となるでしょう。」 
古びていたが清潔そうな上着と黒いトリコーヌの帽子を差し出した。 
「ありがとう。遠慮なく使わせて頂きます。」 
自分の軍服の上から少し大きめの上着を着込み,その輝く黄金の髪を無造作に丸めてトリコーネの中に押し込んだ。そしてオスカルは民衆に紛れて最前部に向かった。

「アラン!」 
アランはその眼を疑った。ぶかぶかの上着を着て其処に立つオスカルの青い瞳がトリコーネの下で燃えている。 「隊長!あんた一体何をやってるんですかっ! 俺に任せるって言ったでしょう!」
「ああ、たしかに。私はただの助っ人だ!」 
「す…助っ人?」 
呆れたアランを後にオスカルは民衆の方に向き直った。  
「良いか,衞兵隊諸君!上着と帽子を脱ぎたまえ!誰のでもよい。 他の上着を着るのだ。軍服を着ていたら命は無いと思え!」
アランが上着を脱ぎ捨てた。それにつられる様に衛兵達は軍服を脱ぎ捨て平民達の差し出す上着に着替えた。たちまち波に飲まれる様に失われた青い標的。狙いを失った国王軍の射撃が躊躇した。

丁度その時真夏の太陽が加勢する様に雲の切れ間から顔を出した。それを合図にオスカルがトリコーネとすり切れた上着を脱ぎすてた。さらさらと帽子から流れ落ち再び自由を得た黄金色に輝く髪はまるで生き物の様に風に翻った。今まで隠されていたフランス衞兵隊隊長の青い軍服の腰で髪の毛と同色のサッシュが靡く。その美しさは隊長に見慣れている衞兵隊員まで見とれる程だ。

「見ろ! 俺たちには勝利の女神が付いているんだ!」
誰かが叫ぶと,バステイーユ中の人々が沸き上がった。オスカルは庶民の一人から大きなトリコロールの旗をつかみ取り,大きく両手で翻した。 庶民と衛兵達の歓声がバステイーユの城壁内で響き渡る。 
「勇気あるシトワイヤンよ!跳ね橋の縄を切るのだ!衞兵隊,援護射撃だ。彼らに指一本触れさせるな!」
 
興奮と熱気に煽られて民衆は一体となって跳ね橋へ蠢く。今や降り注ぐ銃弾も恐れてはいなかった。

「撃て!あの将校を撃て!」 
「駄目だ!逆光だ!狙いが定まらん!」
ようやく国王軍がオスカル目掛けて引き金を引いた。一つ目の弾はオスカルの持つトリコロールの旗ざおを真二つに折りその中にめり込んだ。もう一つの弾は咄嗟にオスカルを押し倒したアランの左腕に。後はオスカルをすっぽり包む様に組み伏せたアランの頭上を素通りして行った。我に返った衞兵隊のマスケット銃がそれに応戦した。

ようやくアランがオスカルの体から離れた。 
「隊長、大丈夫ですか?」 
オスカルに手を貸して立ち上がった。 
「私は大丈夫だ。おまえ血が…」 
アランの左腕から血が滴っていた。 
「ただのかすり傷です。 なに、これで……これであなたにお詫びが出来ました。」 
オスカルの脳裏であの雨の朝に三部会の会場でぶつけられた痛い程の情熱を思い出した。
「ああそうだな…」 
オスカルは笑顔で答えた。その時アランが叫んだ。 
「隊長、白旗です!バステイーユが……バステイーユが陥ちました!」 
「おお!」 
フランス万歳の歓声が沸き上がる中でオスカルは白くはためく頭上の旗を万感の思いで見つめていた。
「後は頼んだぞ、指揮官殿!」 
「解りました。早く旦那の所へ行ってやって下さい。ピエール、隊長を護衛しろ!」 
お前もその腕を見てもらえ。良いな?」 

ピエールとオスカルは勝利に酔うバステイーユを後にした。

*********

アンドレは未だ眠っていた。 オスカルは 寝台の横に座りそっとアンドレの右手を握りその唇に口づけした。
「言っただろう?私は必ず帰ってくると…おまえが目を覚ました時一番最初に見るのは私の顔だ。」  
その時アンドレの唇がゆっくりと動いた。
「約束だ…これからもずっと…」 
「アンドレ!!!」 
オスカルがアンドレの胸に顔を埋めて 泣いた。アンドレの胸に涙がしみ込み快い暖かみが広がる。
「オスカル…もう離さない。」 
オスカルは何度も頷いた。オスカルはアンドレに抱かれて満ち足りた眠りについた。これからは二人で朝を迎える事が出来る喜びを胸一杯に感じながら…

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