~ Into the Fire we go (1)〜    7.13.1789  

~ Into the Fire we go (1)~     7.13.1789  

オスカルの率いる衞兵隊が民衆側にねがえったという知らせは山火事の様に瞬く間に広がった。いくら武器を持ったと言え商人や一般市民は戦闘に関してはド素人。数ばかりいてもお互いの邪魔になるばかりで その数は一方的に抹消されていく。フランス衛兵の進撃は戦いの風向きを完全に逆転した。 オスカルの指導の下にできるだけ煙や馬車等を楯に兵士達を配置させ弾を無駄にせぬ様に慎重に照準を合わせる。一般市民は兵士達の邪魔にならぬ様にマスケット銃の弾を込めて兵士に手渡したり大砲の弾を運んだりといった役割を機能的に行った。オスカルは白馬で兵士達の間を駆け回りながら指導し, 労いの言葉をかけて戦闘の勢いを失わせぬ様に気を配っていた。そのすぐ側には付き添う様に黒馬で駆けるアンドレの姿が有った。失いかけた視力を必死に隠しオスカルを守ろうとするアンドレは正にオスカルの光に対する影そのものであった。

国王軍の抵抗も薄れ後一押しと言う所だ。衞兵隊の勝利も決まりかけ今までの緊張が解けて来るのを待っていたかの様にオスカルの胸の病がその姿を現した。硝煙や砂埃の刺激に耐えかねた肺はもう我慢ならぬとばかり血の濁流となって オスカルに襲いかかった。
「オスカル!!!”」 
わずかの隙を見つけた国王軍の照準が馬上で咳血する金髪の司令官に向けられるのとアンドレが反射的に自分の馬からオスカルの馬に飛び移ったのはほぼ同時であった。次の瞬間弾丸を受けて 倒れる白馬からオスカルを抱いたままアンドレが跳び降りた。

「ユラン伍長!」 
アランが叫んだ。
「ああ任せろ!」
ユランがオスカルの代わりに指揮を執った。  アランとピエールが絡み合ったまま石畳に倒れた二人を引きずる様に戦闘後部に移すとアランを残してピエールは医者を呼びに走った。アンドレとアランはオスカルをとりあえず荷馬車の後部に寝かせた。 
「隊長、失礼いたします!」
傷の手当をしようと上着の鈕に手をかけたアランをオスカルが制した。 
「いや…私は大丈夫だ。弾は当たっていない。」 
「だってこの血……」
オスカルの青い上着は血で真っ赤にそまっている。 
「オスカル、何時まで隠すつもりだ。胸の病は根気よく治療すれば克服できぬものでは無い。頼むから医者の治療を受けてくれ。」  
アンドレが嘆願した。 
「おまえ…知っていたのか?」 
「あたりまえだろう。お前の事ならお前自身より良く解っているつもりさ。」 
無言で唇を噛みしめていたオスカルに向かってアランも口を開いた。 
「隊長……あんたはもう出来る限りの事をしてくれた。これからは俺たちに任せてくれないか?なあに、俺だって一応は士官学校出だ。軍事戦略や作戦術ではあんたに退けは取らねえ。」  
「おまえの実力は私が認める。」 
「それに……あんたに何かあったら 『あんたのアンドレ』は生きていませんぜ。」  
オスカルが息をのんだ。確かにそのとおりだ。オスカルは死を恐れてはいなかった。ただアンドレを失う事だけが何よりも怖かった。 永い間自分を愛して見守ってくれたアンドレもその気持ちは同じだろう。暫く黙っていたオスカルは覚悟を決めた。 
「…解った。衞兵隊をおまえにまかす。頼んだぞ。」 
アンドレとアランが同時に安堵の溜め息をついた。そしてそのままアンドレの長身が後ろにゆっくりと傾き崩れ落ちる様に倒れた。 
「アンドレ?」
アランが抱き起こそうとするとアンドレの上着の背中と左腕がぐっしょりと血で濡れている。
「おまえ撃たれていたのか!!」
あわてて上着とシャツを剥ぎ取ると銃創は左腕上部と左背中に有った。アンドレを近くのアパルトマンに運び医者が治療をしている間動揺して泣き叫ぶオスカルをアランとピエールが二人掛かりで宥めた。暫くして医者がオスカル達の前に現れた頃にはテュイルリー宮広場の戦いは終わり勝利を知らせに来たユラン伍長やラサールもそこにいた。

*****

「急所は外れています。ただ血を沢山失っていますので今夜が峠ですな。」 
蒼い瞳から零れ落ちる涙を拭おうともせずオスカルが医者に礼を言うと尋ねた。
「私の…夫に逢わせていただけますか……」 

その言葉に驚いて立ちつくす衛兵達をよそにオスカルは医者と共にアンドレのいる部屋へ向かった。上半身を包帯で包まれたアンドレはいつになく顔色が悪く呼吸するたびに胸が苦しげに起伏する。オスカルは寝台の隣の椅子に腰掛けてアンドレの右手に頬ずりした。そしてアンドレの懐かしい香りに包まれながらそのまま眠りに落ちていった……

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