Subtle Change

Subtle Change  (JULY 1789)


「なんだか隊長とアンドレの様子がこのごろおかしくないか?」
昼飯の黒パンをかじりながらフランソワが言った。 
「今思えば…」 
ラサールがテーブルに乗り出す様にして声を潜めながら言った。 
「昨日司令官室に書類を届けに行った時二人の様子が変だったんだ。ノックをしてから隊長が声をかけるまでちょっと時間がかかった。中に入るとアンドレと隊長が何食わぬ顔をして各々の机で仕事をしていたけど...隊長の顔がやけに赤くて。まるで何かやましい事でもしていたみたいに。普段と違って俺が話しかけても下を向いたままで答えたし。」  
「ま…まさかア…アンドレとた…隊長が結ばれたんじゃ…?」 
ジャンが興奮ぎみに言った。アンドレが隊長に夢中だという事は衛兵隊の皆が知る事ではあったが、それはアンドレの片思いのはず。まさか大貴族の伯爵令嬢と平民の従僕では身分が違いすぎる。
「そういえばアンドレこの頃すごく機嫌が良いよな…隊長の婚約騒動が有った頃はあんなに落ち込んでたのに。」ピエールがうなずいた。
「あの頃だよ...俺なんかいつもの様にふざけて 隊長の愛人て呼んだだけで殴られた!やってらんね〜!」 「でもあの2人くやしいけどよく似合ってるぜ! 二人とも長身であの美形ときてやがる。」
フランソワが溜め息まじりに嘆く。

それまで黙っていたアランが機嫌悪そうに大声で叫んだ。 
「お前ら何時まで油売ってるんだ!食い終わったらさっさと外へ出ろ。行くぞ!」
そして1班の奴らをひっぱって食堂の外に出た。他の班はもう午後の訓練を始めている。 アンドレが1班の連中を見つけて彼らの方に歩いてくるのが見えた。 
「噂をすれば何とやらだぜ。よ〜し、試してみようぜ!」
フランソワが叫んだ。  
「おいアンドレ!今日はお前一人か?お前の愛人はどこ?」
「何を馬鹿な事行ってるんだ!オスカルならブイエ将軍との会議を終えてもう帰って来る頃だろう。」 
ピエールが
「ほら,怒らないだろ?」
と顔をしかめた。アンドレは訳が分からなく
「何だ, お前達?」
と首を傾げた。

丁度その時オスカルは衛兵隊本部から出て来る所だった。黄金色の髪を左手で掻き上げ,その蒼い瞳が何かを探していた。アランは何も言わず見ていた…その蒼い瞳がアンドレを見つけた時、今までアランが見た事の無い 優しい愛情のあふれた表情をみせたのを。 
「まさか…俺の見間違いだ。」
アランは 小さな声で誰にとも無く呟いた。

********

その夜アランは夜勤のアンドレの代わりを勤めパリの駐屯所の視察へ向かうオスカルに付き添った。この頃のパリの治安はますます悪くなるばかりで衞兵隊の仕事も増える一方であった。オスカルも毎晩帰宅は夜更けである。帰りの馬車の中でオスカルはアランと向かい合って座っていた。
「アラン,非番の日に付合わせてすまなかった。助かったぞ。」
「気にしないで下さい,隊長。非番って言ってもどうせ給料日前で遊ぶ金もないし。隊長も少し休まれたらいかがですか?もう長い事休暇も取ってないでしょう?」
「そうか…じゃあ、お前の言葉に甘えて少し休ませてもらうぞ。」  
よほど疲れていたのだろう。オスカルが眼を瞑るが早く静かな寝息が聞こえて来た。
「隊長…何で女の身でそこまでやらねばならねえんだ。あんたならさっさと結婚して安全な所で何不自由無く暮らせるだろうに。」
アランは アンドレが用意してくれた毛布をひろげてオスカルにかけてやった。その時だ。オスカルの寝言が聞こえてきた。
「…愛している…私のアンドレ…」
アランは 硬直した。頭の中に オスカルの言葉が繰り返し響き渡る。畜生!とうとうあの野郎の思いが叶ったってわけか。

 
******


衞兵隊の本部に戻ったアランはフランソワと組んで警備に当たるアンドレを見つけた。
「アラン!駐屯所の視察はどうだった?」 
「心配するな。問題無しだ。それより俺が夜勤を変わってやるからお前は隊長と一緒に屋敷へ帰れ」
「何だいきなり?」 
「お前の為じゃねえ。お前が居た方が隊長も何かと気が休まるだろう。隊長は疲れきっているぞ。おまえ自分の女ぐらいもっといたわってやれ!」
アンドレは一瞬眼を大きく見開いたが 
「ああ、お前がそうしてくれるなら助かる。ありがとよ!」
アランの肩をポンとたたくと司令官室の方へ走って行った。
「アラン,なんだ今のは?」
「なんでもねえよ!」
たずねたフランソワをアランが怒鳴りつけた。


*******


アンドレに肩を抱かれながらオスカルが微笑んだ。
「よかった…今夜はお前と過ごせないと 諦めていたんだ。お前のいない夜は淋しくて胸が張り裂けそうになる。」「ああ俺もだ。驚いたよ。アランが頼みもしないのに夜勤を変わってくれるなんて。」
「アランが?」 
「ああ…おまえ アランに何といった?」  
「別に何も…私は馬車の中で眠っていたし…そうだ私はおまえの夢を見たぞ…夢の中でさえ私はおまえに愛を囁いていた…」  
「それは光栄だ…我が愛しの女神よ…」 
アンドレはオスカルの耳に熱い吐息で囁いた。
「ず…るいぞ…おまえは知っているんだろう…お前の囁きは蜜よりも甘い。それをやられると私は体の動きがまるで取れなくなる…」  
「それは知らなかった…」 
アンドレは更に甘く,熱く囁いた…… 



アンドレは知っている。小さな頃からオスカルが夢を見ると決まって寝言を言う事を。どうやらオスカルはアランの前で俺への愛を囁いてしまった様だ…

「ま、いいか…」
アンドレは微笑んで腕の中のオスカルを力強く抱き締めた。








Post a comment

Private comment

sidetitleProfilesidetitle

Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
Please Enter at your own risk!

sidetitleMissy's Break Roomsidetitle
This is a message board for my guests!
sidetitleLinksidetitle
sidetitleLatest journalssidetitle
sidetitleLatest commentssidetitle
sidetitleLatest trackbackssidetitle
sidetitleCategorysidetitle
sidetitleMonthly archivesidetitle
sidetitleYou are the visitor number:sidetitle
sidetitleCurrent Visitorsidetitle
sidetitleSearch formsidetitle
sidetitleFriend request formsidetitle

Want to be friends with this user.