鱈の塩漬け

November 1792

「アラン、リヨンは まだ?俺もう腹が減って死にそうだ!」
ピエールがお腹を擦りながらぼやいた。 田舎道を北に向かう二人は冬とはいえ温暖な気候にうっすらと汗ばんでいた。疲れた二人には、ときおりフランスアルプスから吹き抜ける風が心地よかった。
「多分後一時間もすればリヨンに着くだろう。そうしたら何か美味い者でも食おうぜ。」
「うん、そして酒も!」
ピエールが嬉しそうに言った。

***********

「ピエール、見ろ。荷馬車だ。」
前方の道沿いの溝に荷馬車が一つぽつんと有った。二人が近づいていくと、16歳くらいの痩せた亜麻色の髪の少年と、少年の姉らしい娘が必死に馬を励ましている。しかし馬車馬は何度引いても溝から上がれず疲れきっているのかその場から動かなかった。

二人は馬の背中に結んであった毛布と縄を掴むと無言で馬を下り、子供たちの方へ歩いて行った。
「邪魔だ。どけ。」
無愛想なアランが自分とピエールの馬を荷馬車につないだ。ピエールは毛布を広げて車輪の前のぬかるみに敷いた。
「メルシイ、ムッシュー!」
娘は18歳くらいであろうか。男の子と同じ亜麻色の髪を無造作に後ろでまとめた少女は 泥と汗で汚れた顔を輝かせて二人に答えた。アランは、その娘の髪の色こそ違えど、どこかデイアンヌに似ていると思った。

アランの合図に合わせてピエールが馬を前進させるとゆっくりと浮いた車輪が毛布の上に乗った。アランが荷馬車を後ろから押すと、子供達もアランの隣で手伝った。そして大きくガクンと揺れたかと思うと、荷馬車が前に動き出して道路に上がった。

「やった〜!」
「どうも有り難うございました。助かりました!」
「ちょっと待て。泥がついているぞ」
アランがくしゃくしゃのハンカチをポケットから取り出すと娘の額に付いた泥を拭いてやった。
「あ、ありがとう。」
娘は顔を赤らめた。

「兵隊さん達は何処へ行くの?」
「俺たちはパリへの帰り道さ。でも今夜はリヨンで泊まって美味い物でも食うんだ。」
娘の顔色が変わった。
「あなた達、リヨンは駄目よ。知らないの? 市内は親王派で一杯よ。その格好でリヨンに行ったらたちまち捕まってなぶり殺しよ!」
アランが眉を寄せて難しい顔をした。
「それは迂闊だった。リヨンがそこまで物騒だとは思わなかったぜ。」
「アラン、どうするんだ?」
ピエールが心配そうにアランを見つめる。
「ねえ、あたしにまかせてくれない?良い考えが有るの。貴方達お金を持ってる? 1エキュ位有れば足りると思うけど。」
何も言わずにアランが財布から銀貨を取り出して娘に渡した。
「馬を貸してね。すぐ戻るわ!」
アランの馬に飛び乗った娘は今まで通って来た方向に馬を走らせて見る見る内に見えなくなった。

********

荷馬車に腰掛けて娘を待つピエールとアンドレは、亜麻色の髪の姉弟がシモーヌとポールと言う名前で,リヨンの向こう側に住む農民である事を知った。両親の代りに農作物を海岸沿いの街まで売りに行った帰りだそうだ。幸い農作物は完売したらしく荷馬車には何やら魚臭い樽が二つ載っているだけだった。
臭い樽を指差してピエールがポールに聞いた。
「この臭い樽は何だい?」
ポールが悪戯な微笑みを浮かべて言った。
「これは鱈の塩漬けが入っているんだ。これでペーストやスープを作ると最高さ!」
「ふん、それにしても臭いな。」
とりとめの無い話をしながら3人はシモーヌの帰りを待っていた。

*********

一時間も待っただろうか?アランとピエールが臭い樽に寄りかかって体を休めていると馬の蹄の音も高々にシモーヌが戻って来た。馬の背に結わえ付けてある大きな麻袋を取ると自慢げにそれを二人の前に置いた。
「何だこれは?」
「これは貴方達の着替えよ!」
袋の中から現れたのは女性用の衣服に帽子、そしてかつらまで有った。

「おまえ、何を血迷った?俺達がこんな物を着れると思っているのか?それにいくら服装を変えても、俺たちの軍服や武器を隠す場所が無ければ元も子もない。」
シモーヌが大胆不敵に笑った。
「ピエールさん、すみませんけど 鱈の塩漬けの樽を荷台から下ろしてくれませんか?」
訳の解らないピエールだったが、言われた通りに臭い樽を草の上に置いた。すると荷台に飛び乗ったシモーヌが慣れた手つきで 床板をはがし始めた。荷馬車は二重底になっていたのだ。そこの隠し場所には、農産物の売り上げの入っているらしい財布が有った。
「以前帰り道に盗賊に売り上げを全部取られた事が有るのよ。だからお金は隠しておくの。それにこの臭い樽を動かしてまで荷台を調べる様な人は先ずいないから大丈夫。さあ、早く着替えて。軍服と武器は此処にしまって。」
「これならうまくいくかもしれないぞ!」
二人はポールとシモーヌに手伝ってもらって、用意された女物の古着に着替えた。それはごく普通のブラウスに長いスカートだったがかつらをかぶり帽子のリボンをあごの下で結ぶと美人とは言えないが一応女性に見えて来た。
「う〜ん、二人ともひげを剃らないとだめです。そしてアラン、あなたはモミアゲも…」
アランが慌てて言った。
「だめだ、だめだ!俺のモミアゲはチャームポイントだし俺のトレードマークだ!剃る訳にはいくか!」
「何駄々をこねているんですか?そんなのすぐにはえて来ます!」
大笑いするピエールを睨みつけながらアランは渋々とモミアゲをそり落とした。
「ピエール、この事を喋ったらただじゃおかねえぞ!」
そして二人の娘達(?)は荷馬車に乗り、姉弟は馬に股がってリヨンへと向かった。

**********

4人はあっけ無い程楽にリヨンの市内を通過した。ある検問所の一つでは役人がやたらとピエールに微笑みかけたり、ウインクをしたが、問題は無く通り過ぎるる事ができた。
「我が家はもうすぐです。何もおかまいは出来ませんが、今夜は家で泊まって行って下さい。」
だんだん薄暗くなって来る空を見上げてアランが言った。
「ああ、ありがたくお世話になるよ。」
「良かった〜!俺、母さんに頼んでこの鱈の塩漬けでスープを作ってもらうよ!」ポールが上機嫌で言った。

**********

その夜、子供達に手を貸してくれたお礼だと、二人のの母親は鱈の塩漬けで作ったスープやペーストに焼きたてのパンをごちそうしてくれた。父親は父親で一番上等なエールを飲み放題に出してくれた。

上機嫌でエールを飲むアランを見つめながらシモーヌはそっとピエールに尋ねた。
「ねえ、ピエールさん。アランさんて、独身なんですか?」
ピエールがにっこりと微笑んだ。
「あいつ、口は悪いけど、良い奴だろ?でも止めておけ。あいつはね、一生忘れられない女がいるんだ。」
「その方お亡くなりになったんですか?」
「いいや、幸せにくらしているよ。あいつの親友の愛妻としてね。」
ピエールが残りのエールを飲み干して答えた。

***********

パリに戻ったピエールとアランは 司令官室にいた。
「流行り風邪はもう良くなったのか?何だ、モミアゲを剃り落したのか?何とも君らしくないと思ったら!」
アランの顔をしげしげと見つめながら上官が二人に尋ねた。
「はい、おかげ様で。」
アランとピエールが同時に答えた。
「まあ、良い。休暇も長い事取っていない君達だ。少しは体を休めた方が良い。それにしても、なんだこの匂いは?」
司令官が顔を左右に動かして空気の臭いを嗅ぎながら言った。」
「妙に魚臭いぞ。」
「魚ですか?私には臭いませんが…」
「俺も臭いません。」
首を傾けながら上官が言った。
「ふむ。そうか…もうよい。用は、それだけだ。」
「ありがとうございます。」

二人は敬礼をしてから踵を返して司令官室を出て行った。軍服から鱈の塩漬けの匂いをプンプンとさせながら…
 



 



新しい別れと出会い   (6)おまけ

December 1792

「旦那様から小包みだって?」
「ああ、送り主の名前こそ違うが、この筆跡は間違いない。」
使いの者が置いていった 細長い箱の紐を解くと油布の中からジャルジェ将軍の愛用していたサーベルが現れた。
「これは父上の剣だ。」
オスカルは剣を手に取り愛おしげにその鞘を撫でた。
「懐かしい…これが何よりも欲しいと思った時があった…」
オスカルの頭の中で この剣を使いこなせるようになろうと毎日腕を磨いていた若き日の思い出が蘇って来る。


剣と一緒に入っていたのは飾り気の無い便せんに将軍の力強い筆跡で書かれた手紙であった。それをゆっくりと広げたオスカルは一言一言を噛み締める様に読んだ。

「親愛なる娘オスカル、

この手紙が届く頃、 私は無事にお前の母をセビリアに送り届け 地下組織にて活動を始めておるだろう。貴族の身分を隠さねば成らぬ故、この剣も身近に置く訳にはいくまい。私に何か有ったとき, 我が父より授かったこの剣が誰とも知らぬ者の手に渡るかと思えば父上に顔向けが出来ぬ。お前の手によって我が孫娘に授けるがよい。これからの世の中は女であろうと、剣も学問も必要とする日が来るであろう。

おまえもこれ以上アンドレに苦労をかけてはならぬぞ。お前達家族三人に神の御加護と祝福を! 

おまえが唯一の誇りの父より」

剣を握りしめたまま涙をこらえるオスカルがやっとの思いで手紙を読み終えたとき、彼女の声が震えていた。

「アンドレ…変だな、父上に誉められたい一身で 生きて来た私がいた。けれど今はそんな事よりも、ただお父上に無事でいて欲しいと思うだけだ。」

アンドレの胸に頭を持たせかけ、ゆっくりと呼吸を正すオスカルが小さな声で呟いた。
「この剣が父上の形見に成る様な気がしてならないんだ…」
その時の二人にはオスカルの予感が当たっていた事を知る由はなかった。

新しい別れと出会い  (5)

November 1792

「父上、此処からどうなされる予定ですか?」
朝食を終えた皆は居間でアンドレの淹れたカフェオーレを飲みながら話していた。
「トゥーロンから船でマラガまで行くつもりだ。マラガに着けば迎えが待っている。幸いトゥーロンは親王貴族の最後の砦。そこまで行けば安全だろう。逆にお前の部下達はトゥーロンに入る前に引き返した方が良い。」
「将軍の仰る通り、トゥーロンには親王派のイギリス兵隊が集結しています。私達が市内に入れば余計な騒ぎに成り兼ねません。私達はトゥーロンの近くで別れてそのままリヨン経由でパリに戻ります。」
「此処には戻ってこないのか?」
オスカルが少し残念そうにアランを見つめた。
「はい、回り道になってしまうので。帰りは真っ直ぐ北に向けて馬を飛ばします。」
アンドレは自分の妻を忘れる事ができずに苦しんでいる親友が少し気の毒に思えたがどうする事もできなかった。
「そうか、世話になった。今度来る時にはゆっくりして行ってくれ。」
「はい。」
ピエールとアランが軽くお辞儀をすると立ち上がって馬の用意をする為に厩に向かった。

***********

出発の準備が整う間ジャルジェ夫人は並んで座るセシルとジュールに本を読んでいた。その光景を全て頭の中に記録するかの様に将軍がじっと見つめている。疲労とここ三年の苦労の為か、将軍の眼尻の皺がめっきりと深くなっていた。
「奥様、旦那様、支度が出来ました。」
アンドレが告げると、二人が静かに立ち上がりジュールの手を取って馬車に向かった。すると突然、子供たちの顔に不安の陰がよぎった。ジュールの深い緑の瞳から見る見る内に涙があふれてくる。セシルも泣きながらジャルジェ夫妻とジュールの後を追った。困った顔の夫人の手を振りほどくとジュールがセシルに抱きついた。お互いの腕の中でやっと落ち着いたのか、二人の呼吸が落ち着いていった。オスカルは暫く黙っていたが心を決めた様に夫人に尋ねた。
「母上、どうです?ジュールを私達に預けては下さいませんか? 二人ともなついてしまった様だし。」
「アンドレ、あなたはよろしいのですか?」
「奥様、 オスカルの希望は私の希望です。」
いつもの様に物静かなアンドレが答えた。
「解りました。それではジュールを任せます。」 
二人はグランデイエ夫妻と二人の子供たちに別れを告げた。オスカルは言いようも無い不安に駆られた。何故か自分の父に合うのはこれで最後の様な気がしたのだ。それでも不安を押さえて、別れの言葉を交わした。そして二人の乗った馬車は、アランとピエールに守られて丘を越えて見えなくなった。
「父上、母上、お達者で。」
馬車が見えなくなるまで見送っていたオスカルの瞳から一粒の涙が溢れて象牙の様な白い頬を濡らした。

*********

その夜、一つの寝台で手を握り合ったまま眠りについた子供たちの寝顔を見つめながらオスカルがアンドレに囁いた。
「二人は手をつないだまま眠ってしまった。セシルがこんなに他の子供になついたのは初めてだな。」
アンドレが悪戯気に尋ねた。
「幼なじみは御法度では無かったのか?」
「まあ、仕方ないだろう。ジュールがいる限り母上は暴徒に襲われた事を、そしてジュールの父の死を忘れることができないだろう?あのままでは繊細な母上の心が壊れてしまう。」
「やはりそれが一番の理由だったのか。」
「それに…」
「それに、何だい?」
「あの子達を見ていると私達の子供の頃をみているようでな。私にとって子供の頃の幸せは全てお前につながっていた。」
「そして俺の幸せの全てはおまえにつながっているんだ。愛しているよ。」

子供たちの安らかな寝息を聞きながら二人は子供部屋を後にした。

新しい別れと出会い  (4)

November 1792

次の朝早く、アンドレが階段を降りて行くと居間でジャルジェ夫人の声が聞こえて来た。
「おはよう、アンドレ。」
「奥様、おはようございます。どうなさいました?寝台が堅すぎましたでしょうか?」
「いいえ、そうでは有りません。あの暴徒に襲われた日から夜は眠れないのです。大丈夫ですよ、もう少し明るくなったら一休みします。」
夫人が心配そうなアンドレの手を取って隣の椅子に腰掛ける様に促した。
「セシルは、本当にオスカルそっくりですね。あの子を初めて見た時は驚きました。 まるでオスカルの子供の頃に戻った様な錯覚をしてしまいました。」
「周りの人からセシルは母親似だと良く言われます。でもそこまでオスカルにそっくりだとは知りませんでした。」
「そしてジュールと仲良く遊ぶセシルを見ているとあなた方二人の子供の頃を思いだします。」
「ジュールに身内はいないのですか?」
夫人はアンドレの質問に答えなかった。
「ジュールには、本当に可哀想な事をしてしまいました。主人はこの頃のベルサイユの治安の悪さを心配して私にクロティルドの所へ行く様に、いつも勧めていたのです。私が素直に従っていればジュールの父も生きていたのでしょうに。」
「奥様、奥様のせいでは有りません。」
アンドレが夫人の手を握りしめて言った。アンドレには見えずとも夫人の瞳には悲しみの涙で溢れている事を直感した。
「有り難う、アンドレ。私はこの広い世界で貴方とオスカルが巡り会った事をいつも神に感謝しているのですよ。」
「私もです、母上。」
いつの間にか夫人の後ろに佇んでいたオスカルがそっと夫人の手をアンドレの手の上から握りしめた。
「母上、父上に聞きました。ジュールの母の死を哀れんで 彼の為に乳母を雇い、父親がそのまま屋敷で働ける様にはからってあげたそうですね。きっとジュールの父親も、 恩返しをしたくて命がけで母上を守ったのでしょう。その者の為にもしっかりと生き延びて下さい。」
「その通りです、奥様。奥様の優しさがどれだけこの親子の救いになったかは奥様の優しさに触れて育った私が良く知っております。」
二人の優しい言葉にやっと落ち着きを取り戻した夫人は二人の手を握りしめたまま浅い眠りについた。

新しい別れと出会い  (3)

November 1792

皆が軽い夕食を済まし、コニャックを飲みながら居間で誰かが話し始めるのを待っていた。まるでしびれを切らした様に一番最初に口を開いたのはアランだった。
「もとはと言えばピエールが班長を務める区域の貴族狩りの網に隊長のご両親がかかってしまったのです。」
ピエールが 胸を張って少し自慢げに答えた。
「俺、結婚式で見た、隊長にそっくりのお母様を覚えていたんです。裏街道の夜番をしていた兵隊達が、お二人を番小屋に連れて来た時には驚いたのなんの…そこでパリ駐屯中隊長のアランに即連絡したのです。幸いバステイーユで勝利の女神と讃えられた、隊長の名前をひっぱりだしてアランが強引に書類をもみ消してくれました。」
「アラン、ピエール、それはご苦労だった。礼を言うぞ。」
アランが照れを隠す様に下を向きながら話を続けた。
「そして将軍があなた方に会いに行くと知って、護衛をさせて頂いたのです。こことパリの間には数えきれない程、検問所があります。お二人が護衛無しではとても此処に行き着くのは 不可能でした。」
「この者の言う通りだ。改めて礼を言う。」
ジャルジェ将軍が礼を言った。たとえ国民衞兵隊は親王貴族の敵であるとは言え、女子供と行動をするに当たって危険は極限に避けなければならない。軍人としてのプライドを棄ててアランとピエールに力を借りたのだろう。
「父上、何故そこまでしてここへ?」
それは皆の疑問だった。将軍は静かに溜め息を吐くと寄り添う様にして座っている夫人の手をそっと握り締めてから口をひらいた。
「私はスペインのクロティルドの所へお前の母を送って行く所なのだ。しかしこの者はお前達の顔を一目見ぬ限りフランスからは一歩たりとも出ないと駄々をこねおった。後にも先にもお前の母が我がままをいったのはこれが初めてなのだ。言う通りにするしか無かった。」
ジャルジェ将軍の瞳が優しさと愛情に満ちていたのをオスカルは見逃さなかった。
「また、何故突然に?」
「実はジャルジェ家の屋敷が反貴族の暴徒に襲われてな。もうベルサイユは危険なのだ。これ以上お前の母を危ない目に遭わせるわけにはいかないのだ。」
「母上!」
オスカルが夫人に駆け寄った。
「私は大丈夫です。ただ私を庇った使用人…このジュールの父親が命を落としてしまったのです。ジュールの母はこの子を産んですぐに亡くなっています。私の為に親無し子になってしまったこの子を残して行く訳にいきません。そこでスペインまで連れて行く事にしました。」
足元でセシルと二人で積み木で遊んでいる 大きな緑の瞳の子供を見つめる夫人の目には涙が光っていた。
「父上、何故母上と一緒にスペインに留まって下さらないのですか!もう勝敗は決まっています。このままでは無駄死になります!」
怒鳴られるかと覚悟していたオスカルをよそに将軍は何時に無く静かな口調で答えた。
「オスカル、勝ち負けだけが勝負ではない。意志を貫く事の重要さはおまえこそ知っているだろう。」
オスカルは息を飲んだ。 3年前のテュイルリー宮広場の光景が頭に浮かんでくる。オスカルに返す言葉は無かった。

「もう今日は遅い。オスカル、奥様と旦那様を客間に案内しておくれ。俺はアランに手伝ってもらってピエールとアランの寝場所を作る。」
「じゃ、 子供達は俺に任せてくれ。 こう見えても3人の子供の父だ!」
ピエールがセシルとジュールを抱き上げて子供部屋に向かった。
「私はもう一杯コニャックを頂いてからにしよう。」
将軍を一人居間に残して皆が二階に上がって行った。

***********

「母上, だだをこねたのは父上の為なのですね?」
夫人が微笑んだ。
「貴方にはお見通しのようですね。確かにあの人は死を覚悟してフランスに残るつもりです。私も軍人の妻。いずれこうなる事は覚悟しておりました。ただ、あの人に最愛の娘の子供を一目でも見せてあげたかったのです。」
夫人の蒼い瞳からは止めども無い涙が零れ落ちた。

***********

アンドレとアランはもう一つの客間で夜具を整えていた。
「アラン、本当に有り難う。」
アンドレがアランの肩を叩いた。
「なに、当たり前の事をしたまでだ。」
「それにしても…」
「なんだ?」
「護衛なら駐屯中隊長のおまえがわざわざやらなくてもよかったのではないのか?おまえオスカルに合いたくて来たんだろう?」
真意を突かれたアランは口を開けたまま言葉が出なかった。
「悪いな…こればかりはおまえに譲れないぞ!」
真っ赤な顔をして何か言おうとしているアランを残してアンドレは客間を去って行った。

私の掲示板  "Missy's Break Room" に付いて

こんにちは〜!Missyです!

なぜ掲示板を設けたかと申しますと….

私偶然2チャンのスレッドを見てしまいました。

昔から他の方のベルばら二次創作サイトへ行くと、アクセスはリクエスト制だったり、もの凄いディスクレーマー付きだったりするからどうしてかと思っていたら、2チャンのスレッドを見てよくわかりました。世の中には本当に意地が悪い人がいるのですね。あれだけ叩かれれば二次創作の意欲を無くすのも無理無いです。(それで活動を停止してしまった人が沢山いるのかしら?)

幸い私は3年間アメリカ陸軍の軍人だったので精神的にも肉体的にもいじめは我慢出来る方ですから御心配なく。 (それと脳天気なところがあるので…)

アメリカのことわざで

“Opinions are like assholes. Everyone’s got one, they all stink!”
と言うのがあります。訳すと「意見と言うのは尻の穴のような物だ。誰でもが皆もっていて、ドレも皆臭い。」(汚くてすいません)と言う意味なのですが、本当にそうだと思います。匿名というimpersonal な世界では酷い意見も平気で言える人達はむしろ哀れですね。心が狭いのでしょうか。(This is my “opinion” too!) 

私に対してのコメントに「掲示板荒らしをして自分のサイトを宣伝している」と攻められていました。それってカルチャーの違いでしょうか? それが何故悪いのか私には解りません。 私はある程度日本語を理解していてもやはりアメリカ人なのです。 

私は二次創作読むのも描くのも好きで見に行くベルばらサイトは50程あります。気に入ったサイトに掲示板が有ればコメントを残すしその時に必ずメールアドレスとホームページを載せるのは名刺を交換する様な物で … まあ自分を売ると言うのはアメリカ人特有の事かもしれませんね。

私としては何時でも新しいベルばらサイトに巡り会いたいので、コメントを残してくれた方がホームページを入れてくれたら『同士だ〜!』と大歓迎なのですけど!(ただこれだけ沢山有るとコメントをしたまま忘れてフォローしてない所も有ります。それは “Mea Culpa”です。) 

「他の人の店先に自分の店の広告を張るようなものだ!」と言っていた人がいましたが、それはおかしいんじゃないかな? 皆無料サイトなのだし掲示板で私のサイトを見つけたからと言って、掲示板のサイトに行くのを止めてしまう人っていないと思います。  現にWEB RING のコンセプトと言うのは同じジャンルのサイトをお互いにリンクして関心の有る人を増やしお互いにアクセスを増やそうと言う事なのでしょう? (Again, this is my opinion!!!)

…と言う事なので 長くなりましたがベルばら二次創作サイトをやっている方、大歓迎です! 家の掲示板でよければ思い切りサイトの宣伝をしていって下さい。お絵描きの方もどうぞ。 


 Thank you!!!!

MEAN PEOPLE SUCK!!!!!

新しい別れと出会い  (2)

November 1792

「オスカル、元気にしておったか?」
「父上!」
馬車を降り上着を掌で整えながらジャルジェ将軍がオスカルに尋ねた。
「ほう、この子が孫のセシルか? うむ、おまえに良く似ている。性格はどうだ?アンドレに似た方が親としては楽かもしれんぞ。剣の練習は未だか?」
オスカルが言葉を返す事も出来ずにいると馬車の中から澄んだソプラノが響いてきた。
「あなた、 セシルは未だ1歳半です。それにセシルはちゃんと女の子として育てて貰わなければ。」
ジャルジェ将軍の差し伸べる手を取り、ジャルジェ夫人が馬車から降りて来た。
「母上!」
「久しぶりですね、オスカルとアンドレ。」
「一体どうしたのですか?母上まで国民衞兵隊の警護でこのような田舎に来るとはただ事ではないでしょう?」
オスカルの声が不安を隠せないのが誰にでも解った。彼女の声が幾分大きかった為であろうか、馬車の中から小さな泣き声が聞こえて来た。
「オスカル、貴方が怖い声を出すからジュールが起きてしまいましたよ。ジュール、 こちらへいらっしゃい。」
丁度セシルよりも一つ年上くらいの小さな黒髪の男の子が馬車の中から顔を出した。ジャルジェ夫人がその子を抱きあげると不安そうに夫人の首に抱きつく。
「大丈夫ですよ、ジュール。」
夫人が子供を下ろして手をつないだ。心細そうな男の子は今にも泣きそうな顔をしている。オスカルが険しい顔でジャルジェ将軍を見つめた。
「父上、まさか…」
「馬鹿を言うでない!私の子ではないぞ!」
その時セシルがオスカルの手を離れて、とことことジャルジェ夫人の方へ歩いて行ったかと思うと小さな男の子に抱きついた。男の子もセシルに抱擁を返して知らないうちに子供たちは笑っていた。その光景を無言で眺めていた夫人は目頭を絹のハンカチで押さえた。
「母上?」
心配そうなオスカルに夫人が優しく微笑んだ。
「ジュールは数日前に父を失ってから笑い顔を見せたのは今が初めてなのですよ。」
夫人の言葉に皆は言葉を無くした様にたたずんでいた。
「先ずは家の方に…」
アンドレがその場を取りなす様に皆を屋敷の方に誘導した。

新しい別れと出会い  (1)

November 1792

アンドレが葡萄畑で今年最後の葡萄を摘んでいると盲導犬のスゼットが屋敷の方角に向かって吠えた。
「どうした?誰か来たのか?」
アンドレが言い終わるまえに彼の研ぎ澄まされた聴覚が客を知らせた。アンドレが葡萄の入った籠を担ぐのを待ってスゼットは アンドレの左手の下にハーネスのハンドルが軽く触れる様に立ち上がった。アンドレがそのハンドルを握りしめると, スゼットが注意深く石や葡萄の木を避けて歩き出した。

丘の上には馬車と、それとは別に馬が2頭たたずんでいた。
「よお、ひさしぶりだな。」 
良く通った懐かしい声が馬上から響いた。
「アランか? 本当に久しぶりだな。もう三年になる。それにしてもおまえ何しているんだ、こんな所で?」
「久々に会った親友にそれは無いだろう? ピエールも一緒だ。それより隊長は?」
アランとピエールが馬から飛び降りてアンドレの肩を叩いた。
3人の男の笑い声が青く澄んだ空の下に響き渡る。
丁度その時屋敷の扉が開いてセシルの手を引いたオスカルが現れた。
「アンドレ、何を騒々しい。セシルが起きてしまったじゃないか…」
アンドレを取り囲む二人の国民衞兵隊の軍服の男達を見てオスカルの表情が険しくなったが、男の一人が脱いだトリコーネの帽子の下から黒いもみあげの頭が現れるとオスカルの顔が再び綻んだ。もう一人の男も帽子を脱いでオスカルに頭を下げて会釈した。
「アラン、ピエール、良く来てくれたな。」
女神のような微笑みを讃えたオスカルが彼女に良く似た子供の手を引きながら歩いて来る。もう三年も見る事は無かったというのに忘れる事が出来なかった、ただ一人の女。今は親友の妻だというのに、オスカルの 顔を見ただけでアランの心臓が高鳴った。愛しい人を思う心を押さえようとすればするほど顔まで赤くなっていくのが解る。アランはこの時だけは隣に佇む親友にこんな自分が見えない事を幸運に思った。
「隊長、お久しぶりです。」
アランが敬礼した。
「アラン、敬礼は無用だ。私はもう隊長どころか、軍人ではない。それよりどうした?おまえがこのような田舎に軍用で来るとは何事だ?」
「実は、この馬車の護衛をしてきたのです。」
その時、馬車の扉がゆっくりと開いた。

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銀の指輪  (5) おまけ


October 1789

鏡の前でそっと黄金の髪を整えるとオスカルが呟いた。
「これで良し。」
オスカルの肩から腕にかけて大きく開いたブラウスから輝くような白い肌が覗いている。細いウエストで絞られた ポプリンのスカートが緩やかに腰を伝わって足首に落ち、自然な女らしさを作り出す。

それは何処の町にも見られる様なごく普通の 装いだが、余りにも整った美しさ故、時として強面に見えるオスカルをもっと優しく柔らかくみせてくれた。

そっと扉を開けて階段を下りて行くと居間の肘掛け椅子で紅茶を飲んでいたアンドレと目が合った。アンドレが 持った紅茶のカップは左手の受け皿とアンドレの唇の中間で凍ったように止まった。
「どうした アンドレ?」
やっとの思いでアンドレが口を開いた。
「オスカル…とても綺麗だ。どんな高価な宝石に飾られたローブよりも今のお前の方が何倍も素敵だよ。お前の美しさには何の飾りもいらないんだ。」
アンドレがオスカルを抱き締めた。オスカルの鎖骨が口づけを誘い、アンドレはそれに逆らえない。

「…そこまでだ、アンドレ。そうしないと今日は収穫祭に間に合わなくなってしまうぞ…」

オスカルが悪戯そうに笑った。

**************

オスカルにとって収穫祭は何もかもが珍しかった。農家が売る野菜や果物だけではなく、工芸品や玩具等も売っていたし、手品師や中世の装いをしたパレードも有り, 町中の人が大人から子供まで、秋の収穫を祝っていた。 沢山並んでいる屋台の間を歩く二人に、数えきれぬ程のいろいろな食べ物と飲み物の混じり合う香りがした。
「何か食べるか?」
「何が美味しいんだ?」
「そうか、おまえはこんな庶民の祭りは初めてだよな。よし、此処で待っていてくれ。」
オスカルを沢山並んでいたベンチの一つに座らせてアンドレが屋台の方に消えて行った。そのアンドレを何度も振り返りながら三人の娘達がやって来てオスカルの隣のベンチに座った。

「ねえ、見た?今の黒髪の人?」
「当たり前よ、あんな良い男、滅多に見かけないもの。」
「あ〜あ、私もあんな素敵な旦那様が欲しいわ〜!」
「残念だけどあの人はだめよ。結婚指輪してたもの。」
「わ〜残念!」

娘達が散り散りに喋る声を聞きながらオスカルは一人嬉しそうに微笑んでいた。

「し〜っ、あの人こっちに来るわよ!」
アンドレが優しい微笑みを讃えてオスカルの方に歩いて来る。アンドレは木製のトレイから湯気の立つスープボウルを取り出し、コート・デュ・リュベロンの赤ワインとバゲット等と一緒にピクニックテーブルの上にならべた。
「これはドーブと言ってこの地方で有名なシチューだ。この地方で穫れるハーヴやスパイスを使って何日もかけてワインで煮込んであるんだ。」
「ああ、おいしそうだな。有り難うアンドレ。」
オスカルがそっと手を延ばしてアンドレの頬を包み、優しく口づけをした。側で眺めている娘達の視線が焼きつく様に二人に向けられている。

小声で囁く娘達の声が聞こえてきた。

「何て綺麗なカップルなんでしょう。」
「…悔しいけどお似合いね、あの二人。」

娘達のひそひそ話を聞きながら、オスカルはチェシャ猫の様に満足げに笑っていた。

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Missy

Author:Missy
はじめまして!Missy です。日本語はまだまだ未熟ですが,ここはそんな私の妄想で暴走している AO主義のベルばら二次創作サイトです。
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